潮の香りと火薬の匂い。

花火を見ていた。砂の上に腰掛けて。

火薬の匂いが6ノットの風に乗る。

my hometown

江ノ島が滲む。浴衣姿の君は風の中にはいない。

上がる花火がうなじを照らしたあの日。

「ねえ、花火観てるとクラプトンが聴こえない。」

そんな話しが愛しかった。

下駄の鼻緒にかかった砂をはらいながら。

「ねえ、目をつぶってて。」

花火の音、火薬の匂い、あんず飴の香り、

甘い唇。

駅の名前が変わる前のあの日。

京急逗子から娘の手を引き海岸へ歩く。

娘の瞳に映る花火を眺める。

失いたくない時間。

浮気がバレなければ失われない時間。

明日は朝からサバニに乗ろう。

0コメント

  • 1000 / 1000