おにぎり

夏至南風吹く座間味。

レース前の朝食。前夜から準備をしておにぎりを作ってくれる奴がいる。

みんなで食しサバニに乗り込む。

同じ釜の飯、いや、同じおにぎりが仲間の一体感を高めてくれる。

立ちはだかる東シナ海に挑む力を与えてくれる不思議なおにぎり。

奴は海を、いや、自然を八百万を心底愛している。

そんな奴が握ったおにぎりだから、不思議な力を与えてくれるのだろう。

キャプテンと別れる時、こう言葉を交わす。

「じゃあ、また。」

長い遠征が多いキャプテンとは今度いつ会えるかわからない。

しかし、いつもその一言だけ。

小椋佳の歌詞の一節にある。

"また会う約束などする事もなく、「それじゃまたな。」と別れる時のお前がいい。"

君がいつも逗子駅まで送ってくれた時もキャプテンと同じように「じゃ、また。」と別れる。それでいいんじゃないかな。

多くは言わない。君が決めた事だから。

でも、俺は信じてる。来年も再来年もその先も、

君が握ったおにぎりを食べて東シナ海に挑んでる俺がいる事を。

いつでもいいんだよ。いつでも。待ってるんじゃないからね、

いつでもいいんだよ。

だって、俺たちのサバニをめぐる旅はまだまだ続くんだから。

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