白い犬のワルツ
糸満ハーレーに向けてのトレーニング。
日々の日課、時速8キロで散歩をしていると、
前方で白い物がクルクル回っている。
一月の朝6時は、まだ暗い。
10メートル近く寄ってみると小さなマルチーズが、
ワルツを踊るようにクルクル回っている。
よく見るとその中に人が倒れている。
「大丈夫ですか。」
声をかけるが返事がない。
「今、救急車呼びますから待ってください。」
少し顔が動いた。生きていてよかった。
119に電話をかけてからの時間がとてつもなく長く感じる。
ふと、犬を見るとリードの丸い部分を倒れている飼い主の足にかけ動かそうとしている。
一生懸命に動かそうとする白い犬。
飼い主に相当可愛がられていたのだろう。
健気な姿に感動する。
そんな時、ジョギングをしている小太りのオジサンが。
「どうしたのですか?」
「通りかかったら倒れていて、救急車呼んだんですが、なかなか来なくて。」
「じゃあ、私が通りまで行って見てきますよ。」
ジョギングで通りに向かうオジサン。
通りに着いても足踏みを止めない。
そんなに走っているのに何故小太りなんだ?
ふと、疑問が頭を過る。
「来ましたよ!」手を振るオジサン。
救急隊が着き、倒れている飼い主を触ろうとする
「ワン、ワン、」
怒って救急隊員に飛びかかろうとする。
リードを引き抱き抱ええる。
なぜか。私には怒らない。
帰りが遅いと心配した家族の方が来られた。
救急車で運ばれる飼い主。無事を祈る。
車に乗らなかった家族に犬を渡す。
私の手のひらを、ペロッと舐める。
白い犬がクルクル回っていなければ多分、気づいてなかった。
ワルツを踊る白い犬。
ほふく前進する黒い犬。
世の中にはいろんな犬がいる。
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